去年やった「けやきに花を」

門脇篤

2008年02月08日 00:20


去年、定禅寺通りでやったアート・プロジェクト「けやきに花を」は、杜の都仙台のシンボルともいうべき定禅寺通りのけやき並木にピンクの毛糸を結び、西公園の桜並木を延長する、というものでした。

けやき並木のもっとも「美しくない」時期を選んで行われたこのプロジェクトは、市民参加という手法を用いて行われました。
ひとつは、いっしょにこの「作品」をつくりたい人を募り、一週間かけて制作を行ったこと。20名ほどのボランティアの方が集まり、基本的に朝10時から夜の10時まで作業は行われました。下は小学生から、上は40代くらいのお勤めの方まで。

時には「なんでこんなわけのわかんないことをするんだ!」とか、「高さが2.7メートルないと許可できません!」とかいった厳しいおしかりを、わけもわからずに受けながらの一週間でした。
しかし、こうした体験の中で、「一銭にもならないこんな行為を、なぜか懸命にやっている自分に気づいて、それをおもしろいと思った」と参加した学生さんが感想を述べたり、だんだんにできあがっていくけやきの桜並木をバックに、無数の人々が携帯で記念写真をしている姿が見られたり。
、最終日には地元紙・河北新報の一面を飾りました。
市民参加のもうひとつのスタイルとしては、使用するピンクの毛糸を全国から募集し、「あなたの毛糸が作品になります」と呼びかけたことでした。制作参加までいかずとも、自分もプロジェクトに参加できたらおもしろい、という都市型のプロジェクトのちょっとした努力。
最終的にかなりの量が集まり、ほとんどがこれでまかなえてしまったほどでした。

今回、「毛糸の屋根」を行うにあたっても、実際の作業への参加と、毛糸を提供することでの参加という2種類の参加方法を用意し、制作にあたろうと思います。
そうして、何らかの方法で参加した方は、そのことを通して、それまでとは違った街への見方や接し方をしていくのではないかと考えています。

門脇篤

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